東北伝統芸能アーカイブスで紹介されているCGアニメーションについて
2013年03月18日
本サイトで紹介されている芸能のCGアニメーションは全てモーションキャプチャというテクノロジーを用いてつくられています。 これらのデータは、全て東北大学大学院教育情報学研究部渡部信一研究室「伝統芸能デジタル化プロジェクト」(以下、「伝統芸能デジタル化プロジェクト」と表記します)のプロジェクトの一環として記録されたものです。 |
モーションキャプチャとは |
モーションキャプチャは身体各部の座標を計測し、身体動作を3次元時系列として客観的に表すテクノロジーです。それにより計測されたデータをモーションデータと呼んでいます。 モーションキャプチャは、これまで困難であった身体動作を数値データとして正確に精度よく記録できるシステムです。そのためこれらのデータをもとに、リハビリやスポーツの動作分析等に役立てようと試みられています。またCGキャラクターにモーションデータをあてはめれば、非常にリアルな動作をするCGアニメーションの作製もできます。現在では、ゲームや映画等エンターテーメントで頻繁に用いられています。 伝統芸能デジタル化プロジェクトでは磁気式と呼ばれるシステムのモーションキャプチャと、慣性センサ式と呼ばれるモーションキャプチャを用いてモーションデータを取得しています。 ※もっと詳しくはこちら... |
なぜ、モーションキャプチャで計測するのか? |
現在、映像撮影機器も進化し非常に高精細な映像を撮影できるようになりました。大画面に映し出せば臨場感あるれる映像を視聴することができます。もしかしたら、もうそれで十分なのではないか? そう思われる方もいるかもしれません。もちろん本サイトでCGアニメーションに加えビデオ映像も紹介しているように、伝統芸能デジタル化プロジェクトでもモーションキャプチャのデータとともに映像でも撮影し記録しています。一部に立体視映像として撮影した映像もあります。 しかし、映像等のこれまでの既存の保存方法には一つ弱点がありました。それは、映像を違う角度から見たい、もっと拡大したい、遠くから見たいと思っても見ることができない...というように、一度撮影された映像に対して、後に観る人の意図を反映することが難しいということです。我々はこれを「情報の再利用が難しい」と呼んでいます。 モーションキャプチャのデータは、簡単に言えば身体の動きを数値化したものです。したがって、将来の後世の人々がそのデータを利用して自分たちの意図で利用することが可能です。将来テクノロジーがさらに進歩すれば、そのテクノロジーでこれらのデータを応用することが可能になります。SF映画で見るような実際の空間にリアルに表示されているかもしれません。そして、それを観て練習する日がくるかもしれません。このように、将来の学習者が情報を自らの目的で再利用するための一つとしてモーションキャプチャにより伝統芸能を計測しています。 「伝統芸能デジタル化プロジェクト」の目的は継承に役立てることです。将来、伝統芸能を学びたいと考える人に役立つような形を残していきたいと考えています。 現在はCGアニメーションとして公開していますが、「伝統芸能デジタル化プロジェクト」ではモーションキャプチャにより計測されたデータそのものを保管しています。近い将来、見たい角度から見ることができるような映像として公開を検討しています。観る人がその人の好みで視聴できるように...。 |