雀踊り
2013年01月07日
新しい民俗芸能の形
仙台市八幡にある瀬田谷不動尊は祭礼の際に神楽が奉納されてきたという。その舞は勇壮な舞で八番あったというが、その最後に舞われてきたものが「雀踊り」で、舞手が全員で舞台上を飛び跳ねるように舞ったという。仙台城築城の際、石工が伊達正宗の前で演じたのが始まりといわれ、ハネッコとも言われる。
戦後演じられなくなっていたが、1961年頃、仙台第一中学校が地域に根差した芸能についての理解と愛着を深めるために授業の一環として授業に取り入れられ復活した。1985年の仙台青葉祭りでその雀踊りが披露され、その後、踊りは新しい時代にかなった振付を加えながら発展を続け、現在雀踊りは青葉祭りをはじめ100以上の団体により舞われている。
なお、現代風にアレンジされた雀踊りを「新仙台雀踊り」といい、昔ながらの舞を「正調雀踊り」という。正調雀踊りは扇子を一本、右手に持ち、弧を描くように回し、輪踊りである。新仙台雀踊りは、囃子のテンポが速くなりパレード等で舞えるような形に変わっている。毎年毎年、新仙台雀踊りは、様々なジャンルのダンス要素が取り入れられ、団体毎にどんどんアレンジが加えられている。
最近では雀踊りと言えば「新仙台雀踊り」を指すことが多く、青葉祭り等でも「雀踊り」と称し、いつのころから「新」の文字をとっている。新しい形の民俗芸能の継承であるということもできるが、古来の伝統を継承しているとは言い難いのは事実である。
古くから伝承される伝統芸能も、発祥した当時は流行を取り入れたものであった。「新仙台雀踊り」が、地域の人々の絆や、地域への愛着、そして地域・歴史・伝統への理解を生むような真の民俗芸能に成長していくことを期待する。